回復期リハビリテーションとは

回復期リハビリテーションって、何で必要なの?急性期から直接自宅に帰ることはできないの?と思われる方は、多くいらっしゃると思います。

急性期から自宅退院、できます!

ただ、集中的にリハビリすることで、有意な機能回復が臨める場合や更なる入院が必要な場合、仕事復帰・在宅復帰する為に調整が必要と考えられる場合等には、回復期病院への入院を薦められることが多いです。

現場にいた経験も踏まえて、できるだけわかりやすく説明していきます!

でもその前に、ちょっとだけ急性期のリハビリ事情についても…。

急性期のリハビリテーション

急性期に入院中からリハビリは開始されます。経過を見ながら、可能であれば術後すぐにでも開始されるのです。

「え⁉︎まだ手術したばかりだよ!」と驚かれる方もいらっしゃると思いますが、“状態が安定するまで寝て過ごす”という考え方はもはや過去のこと…。現在は【早期離床・早期回復】が重要視されています。

とは言っても、基本的には短時間で、リハビリが無い日もあります。身体の状態把握をしっかりと行なった上で、身体に負担がかからない程度のリハビリが実施されます。

そして状態が安定後に、回復期リハビリテーション病院または病棟へ移動するのです。

急性期病院では、リハビリが短時間で、あったり無かったりします。
退院後、通院でのリハビリでも十分と判断されれば、通常は急性期からそのまま退院となります。しかし、住宅の環境調整やサービス利用の必要性がある、更なる機能回復の可能性が高い等の理由により回復期病院へ転院となることもあります。

回復期リハビリテーションの目的

1982年の国連国際障害者年世界行動計画による定義では、「リハビリテーションとは、身体的、精神的、かつまた社会的に最も適した機能水準の達成を可能とすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことを目指し、かつ、時間を限定したプロセスである」とされました。

つまり、限られた時間の中で、身体面の回復だけではなく、
いかにその人の社会的な権利を再獲得していくか、生活の質を高めていけるか、ということが重視されるようになりました!

回復期リハビリテーション病院での1番の最終目標は、『病前に暮らしていた場所へ帰る』ことだと思います。もしかしたら違うかも知れませんが、私はそう信じて患者さんやご家族と接してきました。

「問題点は何か?」を把握するための評価から始まり、「どうしたら自宅へ帰れるか?」、「趣味活動に必要な能力は何か?」、「職場復帰に必要な条件は何か」等、患者さんやご家族、必要であれば職場の方とも相談・情報交換・検討を重ね、少しでも生活の質の向上を目指せるよう、助言やアプローチ、環境調整を行います。

例えば、ある主婦が脳卒中になってしまったとします。
その家庭には子どもが2人いて、家事全般、または幼稚園の送り迎えを主にこの女性が行なっていた場合、今までの生活を同じようにこなす為に必要な能力は何でしょうか?

料理、掃除、洗濯、書字、計算等、パッと浮かぶことだけでも必要となる能力が多いことがわかります。
脳卒中後であれば、麻痺や嚥下機能障害、高次脳機能障害等が残存している可能性もあります。
片麻痺となった場合、着替えはどうやって行いますか?
車椅子生活になった場合、玄関に入れますか?
野菜はどうやって切りますか?洗濯は?

考えると課題が無限にあるように感じます。不安を感じる方も多くいらっしゃいます。
ですが、これが回復期リハビリ病院に入院される方の現実です。
この現実と向き合い、自宅へ帰る為に、自身で出来る事を増やしていくのです。

患者さんだけではなく、そのご家族も、病気や後遺症についての理解を深め、共に生きていく為に必要なことについての準備や技術の習得をして頂くのです。

中には、後遺症が軽度であり、入院後すぐに退院される方もいらっしゃいます。
一方で、嚥下(飲み込み)機能障害や、高次脳機能障害により入院が長期に渡る場合もあります。
どちらの場合にしても、退院後のビジョンを明確にしながらリハビリテーションは進みます。

なぜこの期間なのか

実は脳卒中後の『機能回復曲線』、なるものが存在します。病気発症後から、約3ヶ月間は“機能回復が大きい時期”とされており、それ以降はゆっくりと回復を辿っていく、というものです。

この“機能回復が大きい時期”に、集中的にリハビリテーションを行い回復を目指す、というのが回復期なのです。

最近では、この6ヶ月の壁を乗り越えて機能回復を目指すべく、保険適応外ではありますが、リハビリテーションを提供している医療機関やクリニックも見られるようになってきています。

リハビリテーションに係るスタッフ

主にリハビリテーションスタッフと呼ばれるのは、

  • 理学療法士(PT:Physical Therapist)
  • 作業療法士(OT:Occupational Therapist)
  • 言語聴覚士(ST:Speech Therapist)

以上の3職種となります。

この3職種は国家資格であり、それぞれ専門学校・大学にて3年以上勉強した後、国家試験に合格する必要があります。

リハビリの種類や役割が異なり、医師の指示の下、患者さんに適したアプローチを実施します。

実際リハビリを見てみると、それぞれのリハビリの違いが分かりにくいことがあると思います。
PTは「身体の機能そのもののリハビリ」、OTは「身の回りのことができるようになる為のリハビリ、もしくは頭のリハビリ」、STは「話すこと、食べること、あと頭のリハビリ」と考えるとどうでしょう?
かなりザックリではありますが…。

PTとOTが少し似ている所があったり、OTとSTが少し似ている所があったりしますよね。実際にリハビリメニューの名前が同じでも、目的や目標が違う、なんてこともあります。
気になった場合は、担当のスタッフに質問をしてみると良いでしょう。
担当セラピスト同士、頻繁に情報交換や問題点の確認、目標共有を行っているので、その時点での患者さんの問題点について、詳しく説明してくれると思います。

患者・家族に向けたチームアプローチ

患者さん一人に対し、主治医の他にPT・OT・STそれぞれ1名ずつ(疾患・必要に合わせて)、そしてそれ以外の医療スタッフにより、退院に向けてチームでのアプローチが行われます。

医師

患者さんの診察、治療、説明等を行います。リハビリテーションの方針についても提案、リハビリスタッフへの指示も行います。全てのリハビリは主治医の指示により提供されます。

看護師

身体状態の管理・把握を行います。入院中は精神的に不安定になる方も多いため、身体的な面だけでなく、精神的な面でのサポートも行います。入院生活において、患者が自力で出来ることを増やしていけるよう、リハビリスタッフと連携をとりながら、患者や家族に対し支援や指導を行います。

看護補助者

更衣、排泄、入浴、食事といった全般的な身の回りのことについて、直接的に介護を行います。

栄養士

栄養状態の把握、管理、調整を行います。各患者ごとのカロリーや食事の形態、食材等について調整を行います。必要に応じて、患者本人又は家族へ、食事栄養についての指導、情報提供も行います。

リハビリ病院では、栄養管理は非常に重要です。栄養が不足している状態で負荷のかかるリハビリを実施すると、リハビリの効果が得られにくい、もしくは状態が悪化してしまうことさえあります。効果的なリハビリを行うには適切な栄養管理が必要不可欠なのです。

※ リハビリと栄養の関係については、また別のところで説明します☆

薬剤師

急性期病院からの情報に基づき、薬剤の調整を行います。薬の飲み合わせや、注意点等について、医師、看護師と共に情報共有を行い、患者さんの体調管理のサポートを行います。必要時には、ご家族、患者さんへ直接説明を行います。

よくあるお話 〜もとに戻してください!〜

病気をする前の状態に戻して下さい!
前にいた病院で、リハビリすれば良くなるって言われました!

実は、こんな風におっしゃるご家族は少なくありません。

急性期の病院は、主に病気の手術や治療を行うことが役割なので、治療が終わり、リハビリが必要と見なされた患者さんは、回復期病院へ転院させるべく話がどんどん進んでいき、あれよあれよと転院させられてしまうのです。

急性期病院の医師は、病気を治療することについての知識・技術・経験は非常に豊富です。しかし、リハビリテーション病院での経験や、リハビリについての知識はどうでしょう?

まずは、回復期リハビリ病院側の評価や目標をよく聞いてみて頂いても宜しいでしょうか。

話をよく聞いてみたら、勘違いしていた部分があったみたい…。
色々と混乱していて…。
でも今の状態がよくわかったし、これから必要なこともハッキリわかりました!

これから家に帰る為にリハビリを頑張ってほしいのに、
おじいちゃんは弱音ばかり!もっとしっかりリハビリ頑張ってよ!!

病気の状態が落ち着いたことにより、患者さん自身がご自分の現状を理解し、精神的に落ち込んでしまうことは少なくありません。
中には「うつ状態」に近くなってしまう方もいらっしゃいます。そうした場合は、身体と心の状態に合わせてリハビリを進めていくことになります。
心身ともに患者さんご自身が頑張れる状態でないと、リハビリの効果は得られにくいのです。

入院期間の制限がある中で、精神的理由からあまりリハビリが進まないと焦ってしまうのもわかりますが、患者さんの状態に合わせたスピードでリハビリは進んでいきます。

じゃあ、ちょっと面会に来る回数を増やそうかな。
最近会ってなかった家族にも連絡して来てもらいます!
とりあえず、ちゃんとご飯食べて、先生の言うことよく聞いてね!!

回復には個人差があります。症状の重症度によっても予後は変わってきます。まずは、回復期病院での評価結果、リハビリの方針や目標をよく聞いて、わからないことについては質問をしてみて下さい。
また、リハビリは、患者さん自身が必要性を理解し、目標に向かって行っていくことに意味があり、早期回復に繋がります。スタッフはあくまで「案内役」であることをご理解頂けると現場で働くスタッフとしては非常にありがたいかなと思います。

※退院後の状態

まとめ

回復期リハビリテーションは、機能回復が大きく期待される時期にリハビリをすることによって、更に機能・能力回復を目指すものです。病気による後遺症に対して、必要と考えられるリハビリテーションが提供されますが、リハビリに取り組むのは患者さん自身であり、リハビリの効果も患者さんによってさまざまです。

回復期病院には、医師、看護師をはじめ、リハビリテーションの専門職スタッフ、介護の為のスタッフ等、多くのスタッフが在籍しており、各患者に対しチームとなって対応しています。

回復期病院に入院中は、介護保険の申請や住環境の調整、ご家族の介助方法の習得等、ご家族の協力が必要となることも多い為、患者さんだけでなく、ご家族も一緒に目標に向かって踏ん張る時期とも言えるでしょう。

今は、退院後のサービスの選択肢も増え、リハビリを継続して行えるような診療を行なっている所も増えてきています。回復期病院に入院中に、色々なサービスや利用できる場所について情報収集をしていくことも、退院後の生活を豊かにするために重要なことなのではないでしょうか。

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